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悲しき軽運送屋の顛末記 (番外編-D) [顛末記]

我が家のエリヤに電話番号簿、いわゆる「ハローページ」と「タウンページ」が配達されてきた。
毎年この時期になると恒例になっている。これは想像ではあるが、多分一年で全国を南から北へと巡回するのであろう。その辺、ご存知の方はお教え願いたい。まさか、一月に北からと言うことは無いと思う。雪の季節にワザワザ配達しにくい場所を選ぶはずも無いからだ。

何を隠そう、私もその昔(軽運送を始める数年前)に経験したことがある。運ぶのが好きなわけではないが、運転するのが好きで配達のバイトが多かった。そのおかげ?で、軽運送もやることになったわけだが、電話帳を配った当時は軽1Boxなど所有していなかった。なので普通の愛車で駆け回ることにした。


★今年の最新版電話帳です。

当時の値段は忘れたが結構儲かる仕事であった。多分、今の半額くらいの料金だったと思う。一冊配ってナンボである。そのほかに前年度の古い電話帳を回収すると、確か5円もらえた。ノルマとして、50%以上の持ち帰りが義務ずけられていた。リサイクルが盛んではない時代、新しい物が配達されるとその直後、古い電話帳がゴミ捨て場に山積になることの苦情が出たかららしい。今でこそ業者がお金を出して引き取りに来てくれる環境だから回収もお金になるが、その当時はお金を出して処理して貰っていたのだから安いのは当たり前、しかし、このノルマを怠ると解雇に繋がるので「仕方なし」にやっていた。

とはいえ、配達は玄関前でよく、確認の印鑑も要らず、留守ならばドア前に置いてくればよい。しかも、大体の家には電話があるのだから隣から隣へと配達するので効率が抜群なのだ。一日に150件はいける。当時、約2~3週間で20万以上にはなったはずだ。たった3週間で、といわれるが、期限が決まっていた。だから、間に合わなくなると単価が上がるのだ。たとえば最初一冊60円で配っていたものが最終的には一冊200円にはなった。自分の担当地域が終わったものが助っ人したり、まだ手のつけられていない場所を料金に釣られて配達するのだ。残る地域とは軽運送で書いたことと重複するが、旧番地である。家が離れてる少し田舎に近い地域は敬遠される。当たり前のことだ。数がこなせないのだから。人気は団地! まさにドア・トゥ・ドアなのだ。

しかし、デメリットもある。印刷業界にお勤めの方はご存知だと思うが、紙は一枚だと軽い。が、束になると非常に重くなる。当時の電話帳は今の倍もある厚さだった。それをハローとタウンの2冊を袋に入れて車に積む。数を数えて事務所に申告し、出発する。だが、そんなにスンナリ車は走ってくれない。とにかく重いのだ。自家用車の後ろ一杯に積んで約150件分はスプリングが一杯に縮んで前が軽くなる、操作も慎重に行わなければ事故に繋がる。近頃では軽運送で仕事の無い人もこれに取り組んでいることがあるが、まさに水を得た魚のようにこれは商業車に向いている。

中には夫婦で動いている人達も居るが二人でやって利益になるかどうかはともかく、これは効率的である。とにかく早い。次が隣の家なので一度車を止めたら数十件を回る。二人でどんどん置いていけばそれなりの数を配れるのだ。

「ナーンダ簡単だね」なんてことはない。結構キツイ仕事ではある。現在は分からないが、当時重さを測ってみたことがある。1セット約5kg。これを10袋は持てない。50kgを肩に担いで一塊なら何とかいけるが、袋の持ち手に指を入れて両手でせいぜい6袋。つまり6件分である。
となれば隣から隣と言っても車との往復になる。たとえばアパートなど一階、二階あわせると10件以上になる。それに10mもない距離を車で移動するのは効率的に良くない。結局人間の機動力に頼るのが一番なのだ。
今頃の季節でも一仕事終われば汗だくになること請け合い。その分、ガソリン代もかからず儲かるのかもしれないが。

心配なのは車のほうだ。運転の仕方もともかく、普通車は乗り心地をよくするためにスプリングやショックを比較的柔らかく、しかも商業車に比べて弱いのではないかと思われる。それに5kgを150セット積めば750kgである。運転手が一人乗るので最低でも800kg以上にはなる。一応乗用車は積載量が決まっていない。が、大人5人、平均体重80kgの計算でも400kg、それにトランクへの荷物があるが、最大でも500kgくらいの計算ではなかろうか。その辺も自動車メーカーに聞くしかないが、とにかく荷物用ではない車に目一杯積むのだから毎日続けて配達していると足回りの寿命が縮むのではないかと気に掛けないほうがおかしい。壊れれば自分の責任で修理するしかないのだから。新車のうちにそれをすると、数年立ってたら通常の使い方をした車よりヘタリが早く出てくるのではないだろうか。ブレーキもまたしかりである。
自分の愛車を酷使しての稼ぎが見合う額なら良いが。どんな仕事も稼ぐのは大変だ。簡単だったらNTT自身の従業員がやっているだろう。

と言うことで、このシリーズも本当にこれで最終話にしたい。番外編では現在の見聞きして軽運送に関わりそうなことを書き綴ってみた。しかし、これもダラダラと「何時までも」では読んでいただいている方の目を汚すだけだ。

次回からは、タイトルも新たに「思い出」を書いて見たいと思う。もし、興味のある方は引き続きこのブログをクリックしていただければ幸いである。

THE END

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